第十八話 付録 知里付神社
知里付神社は、社伝によれば、垂仁天皇二十六年菊月に少彦(スクナヒコナ)命名(ノミコト)をまつって創建され、天暦九(九九五)年に北野天満天神を合祀したと記されている。昔は、雉鯉鮒明神と書かれ、伊勢神宮の贄殿(にえどの)であったことがわかる。別曽池から酉首池に至る大小八つの池が水路で結ばれ、ここで水揚げされた魚は、この社に供えられた後、依綱氏の手で運ばれていた。後、亀山天皇から従一位の神階が贈られ、屋根瓦の紋も菊花で、昭和十九年に郷社に列せられている。大鳥居寄進前は、海上通行の船は、社前で帆を下し礼拝したといわれている。