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第十二話 付録 小桜大明神

小桜姫の伝説は、永承元(一〇四六)年三月十三日のことと、清応院発行の「小桜稲荷大明神略縁起」に記されているが、これと同じ傾向の伝説が西浦にも残されており、枳豆志庄時代に発生したものであろう。
一説によれば、小桜姫は富貴城主戸田法霊の内室(奥方)で、亡夫に会うため、人魂(ひとだま)となって古場跡を尋ねていくのだという。
いずれか真偽は確かめられないが、富貴の南部には「石神」の地名が存し、江戸時代の村絵図では、小桜明神は石神と記されているので、修験道の霊地ではなかったかとも考えられる。富貴城戦死者の無縁墓地という説もある。
いずれにしても、富貴の人々の信仰は厚く、明治までは交代で燈明を毎日あげてきている。

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